背景
ベトナムは政治的に南北統一を果たした後、急速にグローバル化が進展し、継続的に高成長を遂げている。しかし、いくつかの国際協定を締結した後、それらが国内消費を押し上げるうえで障害となり、大規模な設備投資(CAPEX:Capital Expenditure)は減少し続けている。
住宅は人々が最低限の生活を維持するのに必須といえるが、先進国に比べ、ベトナムでは住宅投資が少ない。人口増加、経済発展、都市化の進行にもかかわらず、質・量の両面で住宅不足に直面している。
高度な技術を保有し、実績のある建設会社が不足していることもあるが、限られた住宅金融制度が住宅供給不足に大きく拍車をかけている。政府は、低所得者向けに30兆VNDの住宅購入支援制度を導入しているが、多くの人が貯金と家族や親戚からの借入金で住宅を購入し、金融機関を利用しない。金利が高いだけでなく、銀行口座を持っていない人が多いことも住宅金融制度が普及しない理由といえる。
三菱UFJ銀行はこれらのボトルネックを踏まえ、国際協力機構(JICA)と弊社(B&Company Vietnam)の2社と連携して、ベトナムでの住宅投資の発展に資する住宅金融制度の強化に関する調査を実施し、将来必要な金融政策についてベトナム政府への提言を検討していた。